けいけつまくだっしほう(かがんけんだっしじゅつ)

経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)

ここでは経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)について書かせていただきます。
ただし、大切なことは治療方法ではなくご自身の症状に対して求めているものにあった治療をお受けになることです。
また、同じ治療名であっても医療機関ごとに手技やテクニックおよび術後の結果は違いますので症状にあった説明をお受けになる必要があります。

経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)は目の下にある膨らみを下まぶたの裏から減らす治療です。
言い換えると、今ある膨らみから引き算をして症状を目立たなくする方法です。
ただ単に「脱脂」と言われることが多いです。
下まぶたの手術としては最も負担の少ない手術です。
人によってはメリットと同時にデメリットがでてくることがありますのでその辺をよくご相談されることが大切です。

《一般的な特徴》

  • 膨らみが気になる方は膨らみがなくなることですっきり見えます
  • 経結膜脱脂法をおこなうことで目元のクマやたるみが
    ①とても綺麗に改善される方と
    ②良くなった部分と良くならなかった部分が出る方と
    ③逆に悪化する方がいます。
  • 膨らみがない状態にすると窪んだように見えることがあります。
  • シワが増えることがあります
  • 2日から1週間程度腫れます(ダウンタイムが短いことが特徴です。)
  • 傷あとができません

経結膜脱脂法の症例紹介

ここでは経結膜脱脂法の症例紹介をしております。
リスク:腫れ、内出血、目の下のくぼみ、クマの悪化、左右差、シワの増強などあります。
詳細は後述します。
費用:27.5万円(税込み)

予定通りの期待する結果が出ている例

目の下の膨らみををまぶたの裏から減らすことによって目の下がほぼフラットに見えています。細かいことをいうと膨らみの内側にあるハの字の影がうっすらとあります。

膨らみは無くなったけれども膨らみの辺縁のハの字の段差が残っている例

目の下の膨らみを左右とも減らした状態です。術前と比べると膨らみがなくなり良くなったように見えますが膨らみの内側の段差は完全に残っています。膨らみを減らすだけではこのㇵの字の段差をなくすことはできません。

膨らみは減ったけれどもクマが強くなっている例

目の下の膨らみを減らした状態です。膨らみが減っていることはわかりますが、目の下は暗くなっています。膨らみを減らすと基本的に目元は暗くなっていきます。(そうならないこともあります。)もっと減らすと膨らみはもう少しなくなったように見えますがどんどん窪んでしまいます。

その他の目の下のクマ・たるみ治療の症例写真はこちらをクリックしてください。

経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)による目元の形について

経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)は目の下のふくらみをまぶたの裏から減らす手術ですが、「ふくらみが無くなったと認識できる状態」がどのような状態であるかを知る必要があります。

膨らみが無くなる=膨らみの脂肪(眼窩脂肪)を全部とる ことではありません。

膨らみが無くなったように見える状態まで眼窩脂肪を減らすことによって達成します。

膨らみが無くなったように見える状態とはどういう状態でしょうか。

目元のふくらみの下の影でお困りであるとします。最も低いところ(窪んでいるところ)と比べて少しでも高い所(前に出ているところ)があればそこは必ず影になります。そしてその高い所を膨らみと認識しています。ふくらみが無くなったと認識するには最も低いところと同じか、さらに低くなる必要があります。少しでも出ていては膨らみによる影はなくなりません。つまり最も低いところ(もっとも窪んでいるところ)が基準となります。

経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)によって膨らみを無くすということは今、影となっている最も低いところに合わせて膨らみをとるか、それ以上にとって出っ張っていたところを低くするという治療方法を受けるということです。

経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)は出ているものが低く(出ていない状態)なることはあっても、低いところが高くなる(前に出る)ことは決してありません。これが最大のポイントになります。出ているところをいかに低くして目元をより良い形に見せるかということになります。

ここで注意点がでてきます。本当に最も低いところに合わせることがその方にとって美しい目元であるかということです。

「出っ張っているところが無くなる」ということと「目元が平らになること」とは違います。

また、一見窪みそうに見えて実は綺麗に見えるということも多々ありますのでその辺はご相談の際によく確認されるとよいと思います。この術前の診察は結構難しいです。

経結膜脱脂法で目元が綺麗になっている症例写真をたくさん見たとしたら、それは経結膜脱脂法のみで綺麗になる方のみの症例写真を見ているということです。

様々な目元の症状に対して一つの治療方法で全て綺麗になるということはあり得ません。

ですので世界中でその他の治療方法の研究が行われています。

私たちの場合は脱脂によるデメリットが無視できなさそうな方々にはその方の症状に合わせて

経結膜的眼窩脂肪移動術(=裏ハムラ法=経結膜的ハムラ法)+当院内部処理や

経結膜脱脂法+(微細分離)脂肪注入

などを合わせてご提案することがあります。

その他、考えによってはヒアルロン酸や成長因子(グロスファクター)などを組み合わせることもあります。

経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)とご年齢・シワについて

経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)はご年齢が40代以上ではシワが増えるためお勧めできないと言われることがよくあります。確かにシワは増える傾向になると思います。しかしながらシワよりも経結膜脱脂法によって得られる形のほうがはるかに綺麗ということはご高齢の方であっても多々経験します。また手術直後に出たシワは経過と共に一部消失することもよく経験します。1990年代の日本の先生の文献にも「ある程度ご年齢が高い方への下眼瞼脱脂術でも意外にシワは気にならない」という記載があります。一概に脱脂と言っても方法によるのかも知れません。

ただし皮膚、筋肉の緩みが前面に出ている場合はご年齢に関係なく脱脂のみではシワが無視できないと思います。

シワを気にする場合にはやはり皮膚切開をともなう治療の方がよいと思われますが脱脂に比べると負担は大きくなるため切開の価値がかなりあるかどうかで天秤にかける必要があります。

経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)による色の変化について

経結膜脱脂法を行うと目の下は窪んではいないけど暗く見えるときがあります。

理由はいくつかあります。

一つは、クマの内側の構造物との関係があります。(難しいお話ですが詳細は下の画像をクリックしてみてください。)

もう一つは、膨らんでいた皮膚がしぼむことにより、目に見えないレベルの皮膚の小じわによる乱反射および単位面積当たりの色素密度の上昇で暗く見えることがあります。

もう一つには、膨らみがなくなると涙袋がでてくることによって単純に涙袋の下が陰になることがあります。

実は暗く見えるのは経結膜脱脂法のみではありませんが手術の中では最も出やすいと思われます。

暗く見える色味以上に形が良くなることでクマが改善されればよいということになります。

ちなみに全員にそのような色味の変化があるわけではありません。

脱脂で失敗したと聞く理由の一つに色の変化がありますのでここで書かせていただきました。

詳細は以下の画像をクリックしてみてください。

 

目の下のクマと経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)の適応について

経結膜脱脂法(下眼瞼脱脂術)はたるみの改善にはなってもクマの改善にはならないことがあります。

例えば下の方の術前のような症状の場合です。

クマが改善して見えない症状はいくつかあります。

膨らみの部分が目立たなくなったとしてもそこが治療前より明るくなったように見えないことがあります。

また、膨らみの内側の「ハの字」の部分が気になる症状の場合、経結膜脱脂法で気にならなくなるときとそのまま残ってしまう、あるいは目立ってしまうときもあります。この判断には触診がとても大切になります。

いずれにしても例えば下の方のような場合は経結膜脱脂法では下にお示しした術後のようにはなりません。

経結膜脱脂法術後の修正例について

経結膜脱脂法術後に凹んでしまった、あるいはクマが悪化してしまったなどでお悩みの方はこちらが参考になるかもしれません。

多くは「形」の変化に伴う「色」の悪化を伴っている(そういうふうに見える)ことがほとんどです。

「クマが改善して見える形」がいかなるものかをよくご相談されるとよいと思います。

経結膜脱脂法の実際(流れ・ダウンタイムなど)

経結膜脱脂法の流れ

ここでは経結膜脱脂法の流れについてお伝えします。
経結膜脱脂法はまぶたの裏の局所麻酔のみで治療可能な処置です。
ただし、リラックスして受けたいという場合には鎮静目的の静脈麻酔を併用するとより楽に治療を受けることができます。

  1. 立った状態あるいは寝た状態で膨らみの症状を見ながらデザインを行います。
  2. 次に手術台に寝て消毒や目薬の麻酔を行います。
  3. 静脈麻酔を使用する場合には点滴をとって徐々にぼーっとした状態になります。
  4. 瞼の裏に極細い針で局所麻酔の注射を行います。
  5. 瞼の裏の麻酔が十分効いた状態で瞼の裏を切開します。
  6. 目の下の膨らみの原因になっている眼窩脂肪を内側から外側にかけてバランスよく切除、減量していきます。
  7. 座った状態で確認し必要があればさらに整えていきます。(当院の場合)
  8. 眼窩脂肪の減量が済むと瞼の裏は特に縫合などは必要なく終了となります。

経結膜脱脂法の腫れについて

経結膜脱脂法は術直後よりも術後の方が腫れる治療になります。
腫れには個人差がありますが、最低1日から2日は腫れます。
また、広範囲に処置が必要であった場合には4~5日は腫れてるなあという印象になります。
平均3~4日は覚悟しておく必要があります。
術後1週間の時には浮腫みはまだ残っていますが大きな腫れはほぼ落ち着いていることがほとんどです。
特に皮膚のゆるみが強い方の方が腫れやすい印象があります。
人によってはごくわずかに処置をするのみでよい場合にはやはり腫れは少ないです。

経結膜脱脂法後の内出血について

経結膜脱脂法は皮膚を切開する治療ではありませんが、術後に内出血を起こすことがあります。
大きなものから小さなものまで合わせると半分以上の方には目の下に内出血が起きると思います。
内出血は最初赤紫色から出現しやがて緑、黄色となって消失していくことが通常です。
場合によっては黄色だけが出るということもあります。
内出血の出るタイミングは手術直後からでることもあれば2日後くらいに出てくることもあります。翌日に出ることが最も多いと思います。
治療中の段階で内出血が出てしまうこともあり、その場合には手術直後に内出血が出ている状態となります。
内出血は出てしまうと消えるまでに1週間から2週間程度の時間がかかります。
まれに、目周りの皮膚だけではなく白目の部分に内出血を起こすことがあります。(結膜下出血といいます。)
この場合も消失するまでに2週間程度かかります。
結膜下出血が起きた場合にはウサギの目のように赤くなりますのでやや派手に見えます。
また、マスクでは隠せないという欠点もあります。

経結膜脱脂法の痛み

経結膜脱脂法は痛いですか?と聞かれることがあります。
通常局所麻酔が効いていればほとんど痛みを感じませんが、眼球を覆っている脂肪を扱う治療うため治療中に引っ張られるあるいは押されるような痛みを感じることがあります。
麻酔の追加で和らぐこともあれば残ることもあります。
手術後はどういう訳かほとんど痛みを訴えることはありません。
手術翌日はジンジンする痛み?を感じられこともあります。

手術後半年程度の時に「ときどきズキンとした痛みが走ります。」と言われたことがあります。
眼窩脂肪を切除しているためそういった皮膚の下での傷の痛みのようなものが出たと考えられます。
このような痛みは時間とともに軽快することを待つしかなさそうです。

レーザー治療という言葉について

「目の下の膨らみはレーザーで取るのですか」とよく聞かれます。

まぶたの裏から結膜を切開する方法は主に二通りあり、一つは高周波メス、もう一つは炭酸ガスレーザーです。海外の映像で普通のメスを用いているものを拝見したことがありますが出血により手術操作が煩雑になりますのでほとんど使われないと思います。

高周波メスと炭酸ガスレーザーはどちらがいいのかといいますと体の負担(出血量、腫れ具合)はどちらもほとんど同じだと思います。1mm以下の操作を行うことによって、正確に解剖学的な構造を分けながら行う必要がある手術では高周波メスの方が有利だと考えます。特に経結膜眼窩脂肪移動術を行う際には、より正確な層の見極めが必要になりますので我々は高周波メスを使用しています。脱脂であればどちらでも変わりありません。レーザーというものは、決してまぶたの裏からぼんやり光のようなものをあてると勝手に脂肪が取れるわけではありません。

経結膜脱脂法のあり得るリスク・副作用・合併症

  • 感染
  • 腫れ
  • 結膜の充血
  • ダウンタイム中の出血(まれにフレッシュな出血が起こることがあります。目から出血しているように見えると思います。)
  • 血腫(内出血の強いもの)→内出血後の色素沈着が長引く可能性
  • シワが増える可能性
  • 皮膚、眼輪筋のゆるみが術前より目立つ可能性
  • クマの「色」が濃く見える可能性
  • クマのハの字が強調される可能性
  • 膨らみが残っていると感じる可能性
  • 上まぶたが窪む可能性
  • 目が窪む可能性
  • 涙袋が出てくるとその下の影が気になる可能性
  • 涙袋が出てこない可能性
  • 涙袋が微妙に変化して見える可能性
  • 結膜のむくみが長引く可能性
  • 目元が窪んで見える可能性
  • 目が小さくなったと感じる可能性
  • 左右対称にならない可能性(全くの左右対称はほとんどありません)
  • もとに戻せないこと
  • 目の下の処置をしたエリアに瘢痕の硬さ、しこりを表面から触れる可能性
  • 痛みが数か月以上長引く可能性
  • 痛みどめなど内服薬のアレルギー反応
  • CRPS(複合性局所疼痛症候群):行った処置の程度に対して説明がつかないような大きな痛みが出る可能性
  • その他想定しうる範囲のことを超える体の反応があり得ること

施術についての一般事項

我々が行う経結膜脱脂法の一般事項を書いておきます。

麻酔 局所麻酔(緊張をとる点滴可)
施術時間 10分~60分程度
腫れ 2日~6日程度(個人差があります)
抜糸 不要
入院 不要
通院 基本的には不要
(経過を診せて頂けるとありがたいです)
メイク 翌日から可能
シャワー できれば翌日から
(当日でも可)
洗髪 できれば翌日から
(当日でも可)
相談日に治療 不可

経結膜脱脂法の麻酔について

当院では経結膜脱脂法の麻酔は3種類の麻酔法を併用して行うことが多いです。
以下に一般的な麻酔方法および当院の麻酔方法についてご説明しております。

経結膜脱脂法の費用について

経結膜脱脂法の費用についてのお役立ち記事については次の記事に参考にされてください。
費用を検討する上での注意点などについても書いてあります。

その他の施術方法

筆者紹介

著者
石川勝也
役職
プラストクリニック院長
資格
日本形成外科学会認定専門医
日本美容外科学会認定専門医(JSAPS)
日本美容外科学会認定専門医(JSAS)
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