目の下のクマやたるみの治療に脂肪注入をよくおこないますが、その脂肪注入の一つであるピュアグラフト注入について質問をときどきいただきますのでここでお伝えさせていただきます。
ピュアグラフトは脂肪吸引によって採取した脂肪を専用のバックに入れて洗浄液を入れた後にその液体を捨てます。
すると、そのときに特殊フィルターを通って不要な成分(赤血球やその他の廃液)を除去することができるというものです。
その結果、残したい成分の脂肪だけが採れるというものになります。
右の写真は採取した脂肪を専用バックにいれて、さらに洗浄用液を注入しているところです。
ここから不要な液体を捨てていきます。
廃液を捨てると徐々に採取したい脂肪のみになっていきます。
この洗浄を数回繰り返すことによって完成します。
左の写真は一回目の洗浄を終えるところです。
肉眼でもう少し、不純物がありますのであと数回洗浄をおこないます。
ピュアグラフトのメリットはピュアグラフトの生成において脂肪細胞に対して機械的な刺激を与えずに余分な成分を除去することができることです。
そうして生成しているので生着率がよくしこりなどができにくと言われています。
(機械的な刺激を与えずに生成することが生着率が高くシコリができにくいかは私自身はわかりません。)
ピュアグラフトのデメリットはピュアグラフトの生成過程で採取した脂肪のつぶが大きいため、ごく細い針を通らない点です。
ごく細い針を通らなくてもよい脂肪注入の場合(例えば豊胸術など)はとくにデメリットではありませんが、目の下のクマやたるみに対してごく微量な調整をおこなう場合には不可能となってしまいます。
私自身は脂肪注入による豊胸手術の場合にはピュアグラフト脂肪注入やコンデンスリッチファット注入を行いますが、目の下のクマやたるみ治療には積極的にはお勧めしていません。
私が行う目の下のクマ・たるみ治療のときの脂肪注入はごく細い針(25ゲージから30ゲージ程度)を使用した微調整が必要になるためピュアグラフトのみでの脂肪注入では不可能だからです。
ただし、これは私の治療方法の場合であって目元の治療一般的にそうだというお話しではありません。
細い針での微量注入を行わない場合はピュアグラフトのみで目元治療を行うことも可能だと思います。
また、生成したピュアグラフトをマイクロ化(細かく砕く)した場合には細い針を通るようになりますが、それではピュアグラフト本来の機械的な刺激を与えずに生成したものではないため、すでにピュアグラフトとは言えなくなります。
たんなる脂肪注入となります。
マイクロコンデンスリッチファットのページでも書いておりますが、目元の脂肪注入で大切なことは脂肪の加工方法ではありません。
結果を出すための注入技術が最も大切であり、その技術を発揮するためにどのように脂肪を加工するかということになります。
ピュアグラフトにしようともマイクロコンデンスリッチファットにしようとも医師個人の注入技術を支える加工方法であればその価値が発揮されるということになります。
また、それらを評価するためには実際に医師自身が経験していないと評価できません。
経験を踏まえてどちらが発揮しやすいかを判断することになります。
《point》
マイクロコンデンスリッチファット:ごく細い針で注入が可能
ピュアグラフト:ごく細い針では注入が不可能
ときどきピュアグラフト脂肪注入とマイクロコンデンスリッチファット注入はどちらが良いですかという質問を受けることがあります。
私自身は脂肪注入として微細分離脂肪注入、マイクロコンデンスリッチファット注入、コンデンスリッチファット注入、ピュアグラフト注入などを行いますが、目元への脂肪注入として私自身の注入技術を支えてくれる脂肪の加工方法として微細分離脂肪注入、マイクロコンデンスリッチファット注入を採用しております。
なかでもマイクロコンデンスリッチファットは30ゲージという極細の針での注入が可能ですので微調整には本当に重宝します。
その点においてはマイクロコンデンスリッチファット注入を超えるものは今のところ存在しません。
ピュアグラフトは私自身の脂肪注入方法の全てを支えてくれる加工方法ではありませんので積極的にはお勧めしておりません。
私自身はピュアグラフトよりも微細分離脂肪注入の方が圧倒的に綺麗な微調整ができます。
ですので、目元に関しては
マイクロコンデンスリッチファット注入>微細分離脂肪注入>ピュアグラフト脂肪注入
という優劣となっております。(あくまでも、当院の場合です。)