目の下の皮下への脂肪注入について

目の下のクマやたるみの改善をする目的で目の下に脂肪注入を行うことはよくあると思います。

目の下の脂肪注入は凸凹にならないように注入するため極めて慎重に注入をする必要があります。

また、その注入をする場所が浅い場所であればあるほど凸凹になりやすいためさらに慎重に注入しないといけません。

クマを改善する目的で注入をする場合、どうしても浅いところにも脂肪を注入しないと改善できないことがあります。

それではどれほどの深さ(浅さ)に脂肪を注入するのでしょうか。

それを理解するためには目の下の皮膚表面からの「構造」とその「厚み」を知る必要があります。

目の下の皮膚表面からの構造について

目の下の皮膚表面からの構造は左の図のようになっています。

一番表に皮膚がありそのすぐ裏に眼輪筋という筋肉が張り付いています。そのさらに後ろに目の下の膨らみをつくる眼窩脂肪があります。

皮膚と眼輪筋の間を皮下と呼んでいます。

皮下は例えば腕などであれば皮下組織が明らかに存在しますが、目の下に限ってはほとんど存在しないので皮膚と眼輪筋の間を概念的に皮下と言います。

目の下の皮膚の厚みについて

上の写真は目の下のたるみを切開によって治療をしている手術中の写真です。

皮膚のすぐ下の「皮下」を剥離し、はさみを入れている状態です。

目の下の皮膚はとても薄いためはさみが透けて見えます。

肉眼では実際に色も形もくっきり透けて見えます。

目の下の皮膚の厚みは1mm以下で眼輪筋の厚みが1mm~2mm程度です。皮下の厚みはほぼ0mmです。

まぶたを触って「まぶたが厚いですね。」ということがありますが、「まぶたの厚み」=「まぶたの皮膚の厚み」ではありません。

「瞼の厚み」≒「瞼の筋肉の厚み」であることが多いです。

目の下の「皮下」に脂肪を注入することは可能なのでしょうか?

目の下の「皮下」に脂肪注入をお受けになられたことがある方を実際に拝見したことがあります。

米粒のような形をした黄色、白色の小さな盛り上がりがあり、注入した脂肪がすけている状態でした。

目の下の「皮下」に脂肪を注入することは可能ですが、針の色も形もはっきりと透けるほどの浅さであるため、均一になだらかに注入することは極めて難しい処置になります。(ちなみに眼輪筋下の注入でも多少針は透けます。)

皮下への脂肪注入でクマが消える?

上記症例は紫色に見えるクマの方です。

目の下の膨らみを減らすと同時に眼輪筋の下に脂肪を注入しております。

皮下に脂肪を注入していませんが紫色のクマが改善傾向にあります。

施術名:経結膜脱脂法+微細分離脂肪注入
リスク:腫れ、内出血、痛み、しこりの形成、左右差、脂肪生着率の個人差など
費用:44万円(税込み)

上記の方は目の下の膨らみの影に紫色を伴ったクマの方です。

経結膜的眼窩脂肪組み換え術を行っております。

影および紫色のクマも改善傾向にあります。

したがってクマのあるエリアに脂肪は注入していません。

施術名:経結膜的眼窩脂肪組み換え術
リスク:腫れ、内出血、感覚の鈍さ、痛み、外反など
費用:44万円(税込み)

ここからわかることは紫色のクマの改善のポイントが必ずしも皮下にあるとは言えないということです。

皮下に脂肪を注入することはクマの改善に意味がありますが、皮下でなければならない理由は明確には分かっていません。

理屈上、眼輪筋が透けないようにするということはありますが、眼窩脂肪の組み換えで改善する場合の説明がそれではつかないからです。

当院では、脂肪注入または眼窩脂肪を利用した処理によって色が目立たなくなる理由は内側からの圧力によると考えています。

紫色のクマを改善することは極めて難しいのですがさまざまな要因およびリスクを考慮して治療を行う必要がります。

筆者紹介

著者
石川勝也
役職
プラストクリニック院長
資格
日本形成外科学会認定専門医
日本美容外科学会認定専門医(JSAS)
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