目元のはり感と立体感は別

 

目元のたるみが気になってご相談をいただく方の中に人差し指で目の下を外側に引っ張って「こうなりたいです。」と言われることがあります。

指で引っ張るとかなりいい状態にすることができるのですが実際に治療を考える上では実はちょっとちがいます。

上の写真をみてください。
いわゆる目の下のたるみはBの方がないように見えますがよくみると指で引っ張った場合になくなるはずのシワはAよりも多いです。
それでもおそらく他人が目元を見たときにはBの方が断然若々しく見えます。

どうして若々しくなったように見えるのかをこの方を例にとってお話をしますと影をつくっていた膨らみがなくなっていることと頬がフワッともちあがっているためです。
この頬がフワッと持ち上がっていることがとても若々しい印象をあたえます。
皮膚をひっぱるだけではこの立体感にはなりません。

ちなみにこの方はAが術前、Bが皮膚の切開をしない治療術後半年です。

 

別の方をご紹介します。

この方は目元のたるみを切り取る手術をしています。(上まぶたのタルミも取っておりますがここではその説明は割愛します。)

いわゆる指で引っ張った状態に近い治療方法です。
確かに張り感はでましたし、小じわも少なくなりました。
しかしながら最初の方のような目元の立体感にはなっていません。

 

それではここから立体感をつくるとどうなるでしょうか。

方法は色々ありますがここではヒアルロン酸で立体感を作っています。

左が注入直後、右が3週間後のむくみがひいた状態です。
頬が持ち上がり若々しくなりました。

頬がふっくらしていないとよい形にはならないのかというとそうともいえません。
それに関してはまた別でお話させていただきます。

ここでは皮膚を引っ張ることがかならずしも美しい形ではないということを理解していただければ大丈夫です。

年齢と目元のたるみは一致しない!?

もう一つよく言われるご相談に「年をとったからたるみがでてきました。」(50代Xさん)というものがあります。

その方にとっては確かにお若いときよりもたるみがひどくなっているのだと思います。

ところが50代の美しい目元をしたYさんの方が30代のZさんの目元より美しく見えるということはよくあります。

電車に乗ったときなどに色々な方の目元を観察してみるとよくわかります。

目の下のたるみを気にされて相談にこられた50代のXさんは以前はたるみがなかったかというともともと膨らみや影があった可能性が高いです。

つまりお若いときからYさんのような目元ではなくもともと個性としてのたるみ(ふくらみ)がある場合がかなりあります。

 

 

目元の治療はアンチエイジング(若返り)と言われることがあります。

間違いではありませんが以前のご自身の目元になるのではなく美しい立体感に作りかえると表現したほうがしっくりくることがあります。

そしてそれは皮膚を引っ張るのではなく形を整えるということになります。

作りかえると聞くと「えっ!別人になっちゃうの!?」と思われるかも知れませんがご安心ください。

目元の治療は自然と美しくなることがほとんどですので別人のように感じることはまずないと思います。

ただし、シワに関しては別です。

シワはケアの仕方にもよりますが基本的にご年齢とともに増えますのでここでのタルミは膨らみにともなうたるみとお考えください。

≪Point≫

皮膚を引っ張った状態と立体感を整えることは違う。
ただ引っ張ることがよいことではなく形を追求した方が近道ということがある。

年を取ったから出てきたというよりはもともと素因があってそれが強くなってきた場合が多い。(したがって症状があれば若い方でもたくさん治療を受けます。)

もちろん皮膚のゆるみが強い場合は皮膚を引っ張ることが一番よい場合もある。

ということを知った上で広く深い考えをもった医師にご相談されるとよいと思います。

目元の治療に対する考察がないと皮膚を引っ張ることがもっともよい治療方法と考える場合があります。

皮膚を引っ張る=皮膚を切開するということになりますので不幸なことに治療を断念されている方がいらっしゃいます。

さらには切開をしてもよくならない症状に対して切開を勧められている方もお見受けすることがあります。(切開をしてもよくならないパターンの一例はこちら

 

目元の治療は自然と美しくなることがほとんどです、と述べましたがどの程度の立体感にするかによって治療方法が違いますのでその辺もよくご相談されるとよいと思います。

もし極力美しい立体感を望まれるのであればそういった目元の治療を行っているクリニックに相談しましょう。

必ずしもそこまでの立体感を目指す必要はありません。

考え方は人それぞれですので。

また逆に、症状によっては施術方法に関係なく結果に対する限界もありますのでその心づもりも大切です。

 

筆者紹介

著者
石川勝也
役職
プラストクリニック院長
資格
日本形成外科学会認定専門医
日本美容外科学会認定専門医(JSAS)
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